なんとかなる

乳がんサバイバーの備忘録。

会社のこと。

上司が出張から帰ってきた。

 

告知されてから週末を超えた月曜日。

出張おつかれさまでしたー。どうでしたかー?

なんて話を散々してちょっと経ったころ、上司(男性)が聞いてきた。

 

「で、検査の結果はどうだったんですか?」

 

会ったらすぐ言おうと思っていたのに、どうでもいい話をしていたら忘れてしまった。自分の中では、週末にかけていろいろとハゲそうなくらい考えまくって一旦落ち着いてしまったのかもしれない。

 

あ!あの、ちょっと会議室でいいですか?

と場所を変えて報告した。

  • 乳がんだったこと
  • 手術が必要で、1ヶ月後に予約をしたこと
  • 1週間から10日くらい入院と言われているので、1ヶ月ほど療養したいこと
  • それ以降のことはまだ未定

を伝えた。

病院が聖路加だと伝えると、

「ずっと祖母の代からお世話になっているので、何か困ったことがあったら力になれるかもしれないから言ってください。」

とおぼっちゃまパワーを発揮してくださった。涙が出そうだった。いや、たぶん出てた。

 

なんだよー、優しいじゃないかー。

いい人じゃないかー。今更頼もしく見えてきたよ。

 

「あそこってさー、全室個室だよね。高いよね...」

上司の奥さんもそこで出産したらしく、事情に詳しい。

 

何か困ったこと.....個室代が高いこと.....。これどうにかなりませんかね?そのおぼっちゃまパワーで?

 

「それは無理です。」

 

バッサリ断られた。

 

2人チームで、細かい作業はほとんどわたしがやっていたので、それらの引き継ぎを残すことと、いる間に先々のできる準備はやってほしい、と言われたので、入院前日までがんばります、すみません。とお伝えした。

 

ゴールデンウィークを挟んだので、実質3週間ほどしか時間がなかったけれど、三ヶ月分くらいのセミナーサイトの準備を前倒しでやって、上司のために引き継ぎ書と引き継ぎ動画を作った。

 

仕事が多かったので、残される上司一人では無理と判断したようで、わたしがお休みに入った後に派遣の人を採用することが本社で承認された。

もっと早くヘルプを出していればあんなにストレスを抱えることもなかったのかな?あんなに頑張らなくてもよかったのかな?

 

社長にも報告。

大変だ、まずは身体を第一に…とご自身の過去の大病の話をしていただいた。そして、お姉さん(還暦過ぎ)も何十年か前に手術して、

「今ぴんぴん元気に楽しそうに遊んでるよ!」

とも。

それは心強い話で嬉しくなった。

 

「でもショックだよな、おっぱいなくなっちゃうんだもんな」

 

……。実際その通りですけど、それ出るとこ出たらセクハラでは?

そして、乳がんになったから手術をすると伝えただけだったので、全摘とも言ってない。

お姉さんの経験からそう思ったのだろうけど、世間では、

 

乳がん = おっぱいなくなる

 

なんだな、と思った。実際自分も調べたり人から聞くまでは大した知識もなかった。

配慮のない言葉にはちょっと傷ついたけど、仲良くしてくれてる人事の子に軽くチクっておいた。(他の人だったらセクハラって言われるかもしれないしね!気をつけて!)

 

結局、入院前日の夜遅くまで働いて、仕事と机を整理。

何ひとつイヤなことも言われず、壮行ランチまでしてもらって、ほんとに寛大ないい人たちだなぁって思った。

 

わたしの人間関係はいつも恵まれてる。