レディースクリニック。
検診から約1週間後、予約したレディースクリニックを受診。
それまでの間、ネットで調べまくった。何を調べたかというと、乳がんの症状。
乳がんじゃない、そんなわけない、この私が!と信じたかった。
自分の症状(チクチク)はなんなのか?
乳腺症じゃない?
乳がんは痛みを感じないって書いてあるし…?
そんなこんなで、毎晩のネットで睡眠時間も減っていって。
この日はたしか午後3時とか4時とかそんな時間の予約で、午後一の仕事を終えて歩いてクリニックへ向かった。
その午後一の仕事がなんとも私の中では緊張を伴う仕事で、大きな意味では成功したのだけど、すっごくイヤで悔しいことがあって、トイレで泣いた。
この1週間の不安に押しつぶされそうな気持ちと仕事の悔しさが重なって、涙が止まらなくなってしまった。階段を上がったり下がったりして、真っ赤になった目を元に戻そうとしてたのを今も覚えてる。
そんな状態でのクリニック受診。
要精密検査だったので、検査着に着替えて名前を呼ばれるのを待つ。 すぐに呼ばれて診察室へ入ると、男性の先生だった。
男性かい。 レディースクリニックは先生もレディースなのかと勝手に思っていたよ。男性なんてお恥ずかしいわ。
人間ドックの検査結果の入った紹介状を提出していたので、それを見てからの診察だったのだけど、挨拶してからの開口一番、
「ちゃんとした検査をした方がいいと思います。ここでは必要な検査ができないので、大きな病院へ行かれた方がいいと思います。」
………?
先生はわたしに指一本も触れず(笑)、何の検査もせず、そう言った。
「どこか大きな病院とか大学病院とか、当てがありますか?」
ないっす。ないからここに来たんですよ。って、なにこの流れ…?
「聖路加でよければ予約しますよ。」
そこは聖路加と提携しているクリニックだった。 でも聖路加って高いって聞きますよねぇ?
「治療の費用はどこでも一緒ですよ。個室しかないからね、それが高いんだよね。一泊3万だね。5日くらいだと思うから、まぁ15万くらいですよ。」
いや、高いって! でもいいです、紹介してくれるなら。そこにしてくださいっ!
その指一本触れずにわたしを聖路加に回した先生は、実は聖路加の医師で、その場で看護師さんに予約をさせた。
電話口ではちょっと先の予約になってしまうような話をしていたけれど、先生が電話を代わってごり押ししてくれ、またもや1週間以内にその先生の診察予約が入った。 その電話の口調を聞くかぎり、こわい先生なのかなーって思ったけれど、患者のわたしへの話し方はとても穏やかで落ち着いて信頼できる感じがした。
仕事の予定を見て、予約の日を考えようって一瞬思ったけれど、もういいや、今はそれどころじゃない、って思い直した。
「じゃ、来週またお会いしましょう。職場はどこなんですか?銀座ですか。じゃあ、聖路加もがんセンターも近いですね!」
……がんセンター?って言いました?
もやもやした気持ちで、でも顔はとりあえず笑って診察室を出た、と思う。
看護師さんが来週の予約についての説明を個室でしてくれた。一人の待ち時間に頭の中がぐるぐるしてきて、泣けてきた。
「不安だと思いますが、ネットで検索とかしないでくださいね。見るんだったら、病院とかのちゃんとした情報のサイトにしてくださいね。ブレストセンターのサイトに患者さん向けのページがあるので、それを見てください。」
……また乳がんが前提だ。
「この冊子、持ち帰りますか?サイトからも見れますけど」
いえ、結構です。(まだ乳がんて決まったわけじゃありませんから!)
クリニックで再検査してもらって、あっ、乳腺症ですね。って言われるはず、という淡い期待は一瞬で消え去ったのでした。